子育てしているとなんで泣いているのかわかんなく泣き続けたり、ある時間になると機嫌が悪くなったりと大人には理解できないぐずりに遭遇することがよくあります。

そんな“ぐずり”について研究した学者がいます。それが、オランダのプローイュ博士です。プローイュ博士は子どもの発達心理学を研究しているのですが、その中で「ぐずり期」について解明をした育児書 The Wonder Weeksを発行しています。
欧米ではすでにこの『ぐずり期』が存在するということが多くの人に知られています。彼らはそれを「メンタルリープ」といっています。今回は、ぐずり解消の秘訣になるオランダのプローイュ博士が解明した「メンタルリープ」についてご紹介いたしますね。
ぐずりの概念「メンタルリープ」とは

育児書 The Wonder Weeksには、赤ちゃんは生後20か月の間に、10回ものぐずり期というものを通過すると言われています。それを「メンタルリープ」といいます。
このメンタルリープの時期は、脳が急成長する時に、赤ちゃん自身が急激な変化や感覚の変化に対して戸惑うことで、激しく泣くことが増える時期をいいます。
親にとっては、おなかすいているわけでもない、オムツが濡れているわけでもない、眠いわけでもない、歌ったり、抱っこしたりしても泣き止んでくれなくてとっても戸惑いますよね。「もう嫌だ。なんで泣き止まないの。」とさじを投げだしたくなるあのぐずりは、赤ちゃん自身が自分の成長にとまどった泣きだったんです。
メンタルリープ=赤ちゃんの知能成長期
メンタルリープの時期と特徴

メンタルリープは生まれてから10回くらい訪れるものだとプローイュ博士はいっています。その時期についてご紹介しましょう。
メンタルリープは、おおよそ出産予定日から5週目、8週、12週、19週、26週、37週、46週、55週、64週、75週目のトータル10回起こるとされています。誕生日ではなく、出産予定日というのが不思議ですね。
これは、この時期に赤ちゃんはある体験を感じるようになり、そのことで脳が急激に学習をして成長します。そのため、この10回のメンタルリープにはそれぞれ特徴が解明されて、ネーミングまでついています。
赤ちゃんの中ではどんな急成長がなされているのでしょうか?見てみましょう。
目次
五感のリープ (1回目:生後1か月)
生後1か月ごろの赤ちゃんは、20~30㎝くらいがみえるようになり、パパやママの顔を段々区別できるようになってきます。そして、じっと何かを見つめれたり、目で追いかけれたりするようになります。これこそまさに、好奇心の現われです。
そのため、物事の感じ方が大きく変化する時期になり、脳をいっぱい使うようになります。この好奇心が成長発達であると共に、脳の急激な変化になっています。
パターンのリープ(2回目:生後2か月)
生後2か月ごろは追視の距離方向がかなり広くなるだけでなく、足をバタバタさせたり、手、足、首の筋肉が発達することで、赤ちゃん自身の意志で行動することが多くなります。
そして、身の回りの物事には規則性があるということが少しずつ気づく時期になります。
推移のリープ(3回目:生後3か月ころ)
生後3か月になると首がすわります。興味あるものを見たいときなどに体をよじったり、頭をひねったり、目で追うようにもなります。また、光や音の強弱など変化のあるものに興味を持つようになります。
出来事のリープ(4回目:生後19週ころ)
これまでの五感・パターン・推移の3つのリープで得たものを重ね合わせ、物事の変化を五感を使って複雑に感じ取れる時期になります。
関係のリープ(5回目:生後26週ころ)
目で見えるものの位置関係、距離感が分かるようになり、見慣れない人をじっと見たり、細かいもの小さいものに興味が出てきます。また、舌を使うなど音まねもできるように。
それと同時に、安心できるお母さんやお父さんが離れることを極端に嫌うようになります。
分類のリープ(6回目:生後37週ころ)
これまで同じだと思っていた動物を人間と違う生き物であるということがわかるようになります。物事を分類できる力が付く時期です。
順序のリープ(7回目:生後46週ころ)
物事の一連の流れを組み立てて実現しようとする時期。ご飯を食べる時にはスプーンですくって口に入れるなどの流れができるように。パパ・ママがする手の動作を追ってまねるなどを好みます。
工程のリープ(8回目:生後55週ころ)
ママのお手伝いをしたり、必要なものを準備することができます。ママのお化粧のまねをするなど、1つの作業としてとらえられる時期になります。
原則のリープ(9回目:生後64週ころ)
ある一定のルールを理解し、それに準じて行動することを好むようになります。自分の物と他人の物の区別がつくため、自分のものという意識が高く人に貸すことを嫌がったりします。また、交渉や駆け引きをするなどルールや原則を重んじる時期になります。
体系のリープ(10回目:生後75週ころ)
一人の人間として「自分がやりたい」「決めたい」のような自我がはっきりと芽生えます。自我によって行動できるになると共に、このころから徐々に自分と自我とその環境に合わせて適応できるようになる時期です。
以上が、10回のリープです。
リープが10回もあって大変だなぁ~と思いますよね。
けれど、この過程は赤ちゃんが人として成長するためには大切なこと。その子によって簡単に変化を受け入れられることができる時もあります。しかし、できないときもあったりしてそれが、”ぐずり”として現れているのです。
この、ぐずりの時期は多少大きい小さいはあると思います。けれど、お母さんやお父さんが「なんで泣き止まない?なんで泣いているの?」と思う背景には、確かに子供の成長があるということがわかりますね。
メンタルリープの対処法

”ぐずり”をするのは、赤ちゃん・子どもが感じたこと考えたことを脳が動くことで起きることが分かりましたね。泣いている理由がわかるだけで「成長しているんだなぁ~」感じることができますし、あやす方にも少し心の余裕が生まれます。
けれど、やっぱりあやしていても泣き続けられると体力的にも精神的にもつらいものがあります。そこで、メンタルリープの時期に合わせた対処法をご紹介いたします。
新生児(生後0日~約1か月)
新生児の睡眠時間は15~20時間くらい。ほぼ一日を寝て過ごし、空腹、オムツが気持ち悪いなどの不快感があるとそれを泣いて訴えます。
泣いて訴える内容には、おっぱいやミルク、おむつ、肌着が汚れて気持ち悪いなどなので不快感を取り除いてあげることがポイントになります。
箕輪真理のお世話をしてあげるだけで大丈夫です。
生後1か月から6か月目
少しずつ、昼と夜の区別がついてくる時期ですので、時間感覚がつかめるように朝はカーテンを開けて明るくし、体内時計を整えてあげましょう。夜もだんだんまとまって寝てくれるようになる一方で、夕方頃に泣き続ける「たそがれ泣き」があらわれたりします。空腹やオムツが濡れて気持ち悪いとか改善できる理由もなく泣くことがあります。
そんなときは、アタッチメントを大切にしましょう。親が何かしらの反応を示してあげると、泣き止まなくても、赤ちゃんにはしっかり安心感や愛情が必ず伝わっています。抱っこしたり、やさしく声をかけたり、歌ってあげたりと穏やかな反応を示してあげるのがポイントです。
生後7か月から1歳くらい
ハイハイなど活発に動けるような時期です。起きている時に行動が活発になることは、赤ちゃん自身の発見が多く、感じる感覚も増えています。日中の興奮を夜に引きずってしまうこともあるため、寝ぐずりや夜泣きにつながりやすい時期です。
寝ぐずり対策としては、夕方以降の過ごし方を昼間の活発に動くモードから、本を読んだり抱っこしてたりと穏やかモードにしましょう。また、寝る前のルーティーンをつくったり、おんぶひもを活用したりと、子どもが寝つきやすい流れを作るようにしてみましょう。
1歳児ごろ
メンタルリープを見ても分かるように、1歳を過ぎた当たりから物の流れがだいぶ分かってきます。そのため、一貫性を持って接することが大事です。睡眠をスムーズにするためには、やはり寝る前のルーティーン作ってあげるのがポイントです。
また、お昼寝の時間も12時から3時くらいにし、午後遅くにしないことを心がけましょう。さらに、寝る間際は穏やかな行動にして夜、寝入りやすいリズムを整えることが寝ぐずり予防につながります。
2歳から
1歳までに朝の体内時計リセットやお昼寝の時間、寝る前のルーティーンが整っていれば寝ぐずりは2歳以降でも有効です。
ここで少し気を付けたいのが、テレビや携帯などのスクリーンの光です。
子どもが上手に寝つくためには、「睡眠用ホルモン」とも呼ばれるメラトニンが上昇している必要があります。しかし、夜寝る前にスクリーンなどの強い光にさらされると、せっかく夕方以降に上昇していたメラトニンの分泌量が減ってしまい、寝つきが悪くなる原因になりかねません。子ども自身がテレビや動画を見る時間を管理するのはとても難しいため、親がテレビや携帯を見せない環境づくりが質のいい眠りをつながりますので、頑張りましょう。
まとめ
今回は、”ぐずり”の原因とメンタルリープについてご紹介いたしました。
今まで理解できなかった子供の”ぐずり”もこのメンタルリープの概念をつかえば、赤ちゃん・子どもの成長の過程で起こるものだということがわかり、とても愛らしく感じます。
”ぐずり”にはその時期に合わせた対処法が存在し、どれも今日からできるものばかりなのでぜひ日々の生活に取り入れていただければ幸いです。